YOKO'S SCENE

画家・井上よう子のNEWS。
失われた痛みの・・ひそやかなふれあいの・・
98年に亡くなった、作家・須賀敦子さん。

1991年に出されて女流文学賞、講談社エッセイ賞を受賞した「ミラノ霧の風景」。
あとがきに書かれた、「いまは霧の向こうに行ってしまった友人たちに、この本を捧げる」。

行間の余韻・・切なくなるような言葉の数々・・いちどに、魅せられて、1991年7月、初めて画廊企画で個展をさせていただいたときには、窓辺に「ミラノ霧の風景」を読みかけでおいた様な構図の絵も、描いた私でした。

今描いているのは、やはりあとがきに登場する、ウンベルト・サパの詩、

死んでしまったものの、 失われた痛みの、
ひそやかなふれあいの、 言葉にならぬ
ため息の、
灰。              (ウンベルト・サバ ≪灰≫より。)

からイメージしての、切なさやはかなさ・・で、冒頭のタイトル。
ウンベルト・サバの詩集を読んでもいない私。でも、たったこの3行の詩の抜粋を、敦子さんが本のあとがきに掲げ、それについての解説をするでもなくこのエッセーを書くにいたった短い文章でまとめた・・、そこにこめられた色々な想いを、自分なりに・・・全く自分なりのイメージですが描いています。

小さい時から、「今イタリアに行ってるいとこがいる」と、私は母からきかされていた・・・それが敦子さんでした・・東京に帰って来られて大学の先生になられてからも、祖母や母を通じての、伝言ゲームのような間接的な会話をたまにした程度のまま、お会いすることもないままに(あんなに早く亡くなられるとは思いもせず)、逝ってしまわれた・・若いころ夙川の須賀本家で一緒に暮らしていた祖母は(祖母の長兄の娘だったので)自慢の姪が自分よりずっと早く亡くなったことに、とてもがっかりして
さみしそうにしていました。

それにしても、右目が痛み・・
それとは別に、かけているCDの曲に気持ちが動いたり・・
父を病院へ送ったあと、今日は集中して絵を描かないと間に合わない・・・と、思いながら、心はあちこちに・・
だめな私。

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