YOKO'S SCENE

画家・井上よう子のNEWS。
届けられた「ちょっと いい話」…
文藝春秋社から「オール讀物」3・4月合併号が届いて、「え?」「何?」と不思議に思いながら開けると、付箋がついたページ「ちょっと いい話」に、ノンフィクション作家・後藤正治先生が、私の絵の事を書いて下さっていました。有り難くて…じんと来て…少し長くなりますが、以下に転記します。

「 ≪ ちょっと いい話 ≫  ノンフィクション作家・後藤正治

神戸の下町に暮らす画家、石井一男さんを主人公にした拙著『奇蹟の画家』を刊行したのは十余年前の事。ギャラリー島田を主宰する島田誠さんと知り合い、紹介してもらった画家であったが、もう一人、親しくさせてもらってきた画家に井上よう子さんがいる。
 淡い空色の、あるいは深い海のブルーを基調に、幾条にも差し込む光の帯が綾なす絵は美しい。遠い記憶に誘われるような風景絵で、個展でひと目見て魅了された。
 以降、何点か購入させて貰い、拙宅の居間や仕事場に掛けているのだが、石井さんや井上さんに出会う以前、絵を買いたいと思ったことはなく、老年になって覚えたささやかな趣味ともなった。
 夕食をともにした日もあるが、井上さんの人生にも痛切な出来事があったようで、美しい絵のモチーフには喪失と再生が込められているように思えた。エッセイ集の挿画にも使わせていただいた。
 井上さんに私的な頼みごとをしたことがある。
 個展で、遠くの海岸線を走る犬の図柄の絵を見て思い至ったもので、その絵はすでに購入済の赤い印が打たれていた。私は犬好きで、「ゴロ」と呼んでいたシーズー犬がいる。ずっと前に死んでしまったのだが、ふっと、もう1枚、同じような構図の絵を描いていただくことはできないでしょうか、と。
 快諾をいただき、暫くして、「海岸線を走るゴロ」が送られてきた。十六号大の絵で、広々とした大空に白雲がたなびき、下方には横にひと筋、海が走り、茶色の砂浜が広がっている。その上を、ゴロと思しき小さな犬が駆け、後方から人の影が追っているー。
 この絵は台所の壁に掛けてきた。就寝前、焼酎の水割りを手に、ぼんやりと絵を見やっていると、かすかに語りかけてくるものがある。一日の中、私のささやかな良きひとときともなっている。
 縁とは不思議なもので、もとをたどれば、神戸でたまたまの出会いがあったおかげである。もともと趣味の乏しい男で、本を読むぐらいしか能がない。いつも、ご趣味は?と問われると困ってしまうのだが、先般、某新聞社の文化部記者に問われ、「絵の鑑賞」という言葉が口に出て自分でもびっくりした。赤面気味ではあったが。」

一日の終りにゆっくりと絵を眺め、それが良きひとときとなっている…
そんな風に絵を眺めてもらう事、それは絵を描く者にとって何よりの幸せ
温かなものを心に頂いた思いで、今日も絵に向かっています。
| - | 01:48 | comments(0) | - |
大切なことは…
本当に大切なことは目には見えない
星の王子さまも、小津安二郎監督も、言っていました。

最近、TVや新聞の報道も、ネットニュースも、SNSで発信されることも、
情報過多に溢れる全ては勿論把握しようもないのだけれど、
私などが目にするものだけを見ていても、いったい何が本当なのか、どれを信じたら良いのか、、本当だと思って見ていた情報が翻ることがあまりにも多くなっていると感じています。
フェイクニュースなどは言語道断ですが(こんな事もできるのかと愕然、それ程の技術を人を貶めるのでなく役立つことに使ったらいいのにと哀しく)政治家の言葉の軽さにも…行動の軽率さにも…。
長く続くコロナ下で、皆不安な毎日を過ごす中、日本の社会を動かしている人たちの信じられない行動がよけいに不安を増幅させている気がします。勿論頑張ってくれている人も沢山いる、そう信じて(信じたい)いますが。

医療の現場、介護の現場、本当に大変な状況がずっと・・・
学生にも、コロナでバイトが無くなって学費が払えるかを悩んでいたり、いえコロナだけでなく、今こうしている中でも、命の存続と闘う人もいて…
大切なことは、目には見えないけれど、それを思いやる、想像してみる、そういうことなのではないかな…と。
大切なことを見誤らないように、あらためて思う毎日です。

月曜は卒業制作展搬出後片付けを手伝いながら、卒業迫る学生の卒業後の悩みに耳を傾け、火曜は確定申告へ。水曜は別の大学補講へ(言葉の壁のある留学生と翻訳アプリも駆使しながら意思疎通💦)。木曜はアトリエで制作後、京都大丸で始まったチャリティー展会場へ顔を出してきました(6階イベントホールで22日まで)
私に今できる事は、感染症対策をしながら、学生にもNHKの生徒さんにも、自分の絵にも、とにかく誠実にむきあって行く事かなと思います。
| - | 00:36 | comments(0) | - |
カレンダー

1月4日のブログでお知らせした、yukkelcreation(デンマークのYUKOが企画運営)から発売の私の絵のカレンダー、私も実物見るために申し込み届くまでドキドキ(アメリカの会社で作って送られて来るのですが、流通もコロナの影響で遅れ、1か月かかると)でしたが、いつも印刷物(連載挿絵の時も、個展DM作成時も)で出すのが難しいと言われる私の絵のブルーも綺麗に再現されていて、紙質もしっかり良い感じでほっとして、自宅にもかけています。
予想以上に沢山の方が…個展に来れなかった人、東京や広島の方、遠くアメリカからも申し込んで下さったり、個展に来て下さった方も…(YUKOから連絡ありました)頭が下がる思いです。
ありがとうございます。
上に書いたように、申し込んでから届くまで1か月ほどかかるようですので、遅いなと思って待ってくださってる方、すみません。もう少しお待ちくださいね。もう今年も2月半ばですが、新作画集のような感じで楽しんで頂けたら幸いです。

毎年の事ながら、年が明けたと思ったら1月2月あっという間に過ぎて行きます。
先週無事今期大学授業は終了…と言いたいのですが、まだ別の大学での補講が(中々入国できなかった留学生たちがやっとそろって)今月はあり、依頼受けた絵と、7月個展へ向けての制作と、確定申告書類作成と、色々にばたばたと忙しく日々は過ぎて行きます。
でも、こうして、毎日、少しでも絵が描けることに感謝。。。
大変な状況下にある人も、少しでもしんどい事の少ない日々となっていくことを毎日祈りながら…
| - | 00:03 | comments(0) | - |
いちにち いちにち
今日、資料を探して本棚を探った時に、引き寄せられたように出て来た本。
10年前,40代で亡くなったデザイナ―柏木江里子さんが病室で描いた花のスケッチに,青木美詠子さんが言葉を添えた
『 いちにち いちにち 』

「 ただ
  生きていればいいと
  友が 
  いのちがけで
  教えてくれた

  そんな気がした 」

 命の証を記すように描かれた絵に寄り添う言葉が、今、とても沁みた。

「 いちにち
  いちにち 
  へいぼんな日を

  いちにち 
  いちにち
  過ごしている
  
  もし今日が最後だと思えば
  誰しも
  つまらないことで
  怒り合うことはしないだろう  

  ・・・   」

そして、

「デジタルカメラの最後に入っていたのは
 病室からの空とつばめだった 」

との最後のページの写真に、昨年から今年、私が描いている絵に通じるものがあって……      この本のこと忘れていたのに…
不思議な気持ちと切ない気持ちが重なって…
また天上にいった人たちを想い、そこにある光を想いながら、今日もアトリエに走って、絵に向かったのでした。



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