YOKO'S SCENE

画家・井上よう子のNEWS。
世の中の評価とは…神戸ビエンナーレ
画像は、先日書いた亀高文子さんの、若くして亡くなった最初のご主人=渡辺与平氏が描かれた「ネルの着物」という作品。長女出産間もない文子の、体のしんに疲れを纏ったけだるさと色っぽさが、古さを感じさせない抑えた色調・シンプルな画面構成で、こちらに静かに迫り、暫しとらえて離さなかった…
実は亀高文子展の中で、一番心惹かれたのはこの作品でした。(文子さん本人の子供を描く目線の温かさは心地好い作品たちでしたが、芸術性のかなりの高さを感じたのはこの作品だったのです)
でも・・・将来を期待されこの作品も文展で三等受賞しながら、22歳という若さで急逝した、渡辺与平という画家に、光が当てられた事があったでしょうか…

情報社会の今、その情報の危うさを感じています。
一般庶民は、新聞・TV・インターネットや情報誌など、広くメジャーに流される情報には、信頼性があるかのように簡単に受容してしまい…逆にそれらから削除されているとマイナーであるかのごとくに思う…
その情報がグローバルな視野、公平で確かな価値判断からなされた物でなく、情報操作された物であったなら…怖い事だと思います。
今日からスタートした神戸ビエンナーレ。
失望した2年前の第一回展に比べると、地元の優れた現代美術家達が招待参加、内容は格段に良くなったと思います。
でも…
芸大生時代から、今の美術界の動向を知るべく時々愛読(結構高いので毎月は買えず…)してきた「美術手帳」
今回、神戸ビエンナーレ特集号が出されたのですが、裏話を聞いて、愕然としました。
今の神戸のアートシーンには欠かせないだろうギャラリー島田。神戸ビエンナーレとともに神戸のアートシーンを巡るためのアートマッブ的ページに、もちろん取材も受け、画像も提供して大きく載る予定だった…ところが、できた掲載原稿をチェックした主催者側から削除するよう言われ、出版社側の、小さな記事にして載せる案すら通らず、全くの削除になってしまった…それは、前回の神戸ビエンナーレに、島田さんが、やや批判的意見を述べられた事や、それ以前にも神戸市に盾突く事があったから?
今の時代に、情報を制限したり、あるべき物を排除する事がまかり通っていいのでしょうか。
削除を言った神戸ビエンナーレ主催者にも、それに応じて削除した美術出版社にも、失望…もっと公平な大人目線を持って頂きたいと、切に思った私です。
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