2021.07.04 Sunday
7月の記念日
30年前、初めて画廊企画での個展(お金を払ってギャラリーを借りる展ではなく、画廊が企画し費用負担して開催して下さる展。その分責任重大ですが))を、神戸元町の海文堂ギャラリーでさせて下さった…その時の案内状の絵のタイトルは「7月の記念日」でした。
たった今までそこにいた大切な人の存在を、人は描かずに表現する…私がずっと描き続けたそんなテーマがやはり根底にある風景、時が止まったような明るい陽光のさすテラスとその向うの海を、手前の室内から見つめる50号の絵でした。 その後も1年おきに画廊企画での個展をしましょうと、生活が厳しかった私には涙が出るほど有り難い申し出を頂き、子供も父も仕事も抱えながらの中、どんなに寝る時間を削ってでも画家として頑張る希望を頂き、今まで画家としてやって来れた…それを言って下さった海文堂社長(現・ギャラリー島田社長)島田さんは、私の画家人生の大恩人なのですが、次の個展の企画を相談される時に「井上さんの絵は、7月か9月が似合う気がするなぁ」と言われた事がありました。 で、何度も企画頂いてきた「井上よう子展」は7月または9月が多いのです。私自身、9月は秋に向けて光が煌めいて来る夏の終わりの物悲しさもある季節で(竹内まりやさんの「セプテンバー」の歌も好きです)、絵のイメージに重なるなと。でも、7月はなぜだろう… ふと、そんな事を思い出し、考えながら、目前に迫った阪急での個展準備に追われています。 *その「7月の記念日」は、須賀敦子さんの夙川の実家に、今もかかっているそうです。(須賀家を継がれたE子さんが、30年前の個展最終日に買って下さって、震災で建て直しされた後も、かけて下さったようです。) *最近のギャラり―島田での個展は12月に。(デンマークの雪の風景を描いたりもあり?)今年も12月に企画頂いています。
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