YOKO'S SCENE

画家・井上よう子のNEWS。
時は容赦なく流れ…
3日前、神戸元町の海文堂書店が店を閉じました。
私は、いつもの忙しい月曜の授業を午前は夙川キャンパス、午後伊丹キャンパスでこなしてから車飛ばしギャラリー島田へ、それから元町へ走り車停めて海文堂へ行きました。着いたのが6時頃。閉店予定の7時をかなり過ぎて沢山の方々が溢れる店の前で店長さん挨拶し、温かく、でも切ない拍手に包まれシャッターが降りるまでの約1時間半、懐かしい沢山の方々と出会ったりしながら店内を巡りそれからじっと外から見つめていました。
書店としての閉店を惜しむ思いの方とはちょっと違うかも知れません。もちろんそれもあるのですが…
24年前、ここと出会わなかったら今画家としての私はなかった…この2階にあった海文堂ギャラリーに、悲壮な思いでやっと描いた絵を持って何軒か回った最後に出会っていなければ、そして当時の社長だった島田さんが見て預かって下さってなかったら…。
91年から99年まで隔年の5回の企画展の度、2階のギャラリー横の美術コーナーは長時間立ち読みも大目にみて貰い貧乏絵描きには有り難かったし、乳飲み子連れて来たりで、児童書コーナーにもお世話になった…色々なシーンが浮かんできて視界がぼやけました。
「92年が初個展だから僕が1年後輩やね…」同じくこの場所から画家として始まって今や個展には日本中からファンが来る石井一男さんも来てらして、同窓生よろしく一緒にこっそり元ギャラリーの場所に入って懐かしく壁を見つめ、島田さんやスタッフが座ってたスペースも「そのままやね…」共に写真を撮りました。もう2度とは来れない消えゆく思い出の場所で。
私だけでなく沢山の人の思い出が染み付いた場所…。書店内でも外でも、それぞれにそれぞれの仕方で別れを惜しんでられました。
今の海文堂の基を多大なる努力で確固たる物にした人、ギャラリーも日曜大工で作り文化の発信源としての役割も担われた方である島田さんは、沢山の人だかりの一番後ろから、静かに、じっと、幕が降りるのを見つめておられました。
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