2016.12.27 Tuesday
光と影
12月22日の神戸新聞夕刊掲載の「随想」私のエッセイ最終回でした。以下に
「イルミネーション煌めく季節ですが、秋から冬は自然の光が一段と愛おしくなる季節でもあります。空気が凛と澄み、影は深く、光が一段と輝いて見えて…。 この季節我が家から見える朝の風景も、早くから明るい夏と違い起きた時はまだ薄暗く、刻々と明け行く空、それを映す海の色、濃紺のブルーから徐々に光を含んで、さらにピンク・オレンジ・淡いレモンイエローの光も加わってゆく…その美しい色のせめぎあい見つめながら朝食やお弁当作りができるのは、寒く眠い時間を素敵にしてくれます。 好きなこの季節は、遠い日突然姉が逝った季節でもあり30年前母が死の宣告受けた季節、はかなく散りゆく葉に、ふと遠く切ない記憶も…。 一度きりの人生で大きな悲しみ苦しみは、できれば少ない方がいい。でも、そういう体験から小さな幸せに気づいたり、今困難の中にありながら頑張る人の真実が心に沁み、普通の生活の中の大切な事が輝いて見えるのかもしれません。 絵でも、光は明るく描く一方では輝いてはくれません。影の色を描いてこそ光を放つ…。「影があるから光は輝いて見える。悲しみがあるから幸せが輝いて見える。…すべてそういうことかもしれない」。かつて個展で絵に添えた言葉、今もずっと心にあります。 今回で私の随想担当も最後となりました。書かせて頂く中で自分とあらためて向き合う時間頂いた気がしています。感謝…。 そして、年明け1月24日~2月19日、かつて亡き恩師も個展をした京都「ギャラリーなかむら」での個展に、ずっと見つめ続けてきた静かな光と影を感じてもらえたら…と思いながら、今日も制作しています。」
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