2016.11.22 Tuesday
神戸新聞 随想 5回目は 「喪失と再生のブルー」
昨日の神戸新聞夕刊「随想」、愛してやまない色「青」について書きました。以下に。
「好きな色を尋ねられたら迷わずブルー・・・青にこだわる画家として出品依頼頂いたり、青をテーマのワークショップを頼まれたりすることも増えました。子供の頃から青色が好きで、小学4年で裁縫箱を買う申し込みに、男子はブルー、女子はピンク、でも私はブルーにさせてほしいと担任教師に頼んで、女子で1人だけブルーに。母は困惑していた気がします。長じて惹かれる絵も、モネやワイエスの朝の光、東山魁夷、ピカソなら青の時代。芸大に入ると、青の重なりの中の自画像や風景を制作。見るからに青の絵もあれば、一見ベージュやグレー系の絵も、必ず青を使って作り出した重ね色…その頃から今に至るまで、様々な青を使ってきました。 青は喪失と再生の色ともいわれます。 2014年1月、三木市立堀光美術館で特別企画「井上よう子〜切なく温かい青の情景」展を開催頂き、20数年にわたるブルーの大作を並べた時、深い悲しみの中にあった暗いブルー、希望を感じる光の絵には明るいブルー。私のブルーも時々で変化してきたことを感じました。 恩師で世界的画家だった三尾公三先生も、作品にブルーを多用されました。でも、そこに隠された意味があったことは、2000年に亡くなられた後、息子さんから聞くことになります。 世界に名をはせた画家に、実は色覚障害があり、赤や緑は判別難しく、青が一番知覚できる色だった…芸大教授としてそれは秘してきたけれど、亡き後には、そういう障害のある後進のために公表してくれと言われていたと。 今日も青を使い制作しながら、ご自分に本当に厳しく、努力の人だった師を思うのです。 いのうえ・よう子=画家 」
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