2010.12.15 Wednesday
ノルウェーの森
先日病院での待ち時間に、86歳の父が言った言葉、
「村上春樹の本読んだことなかったけれど、‘ノルウェーの森’読んでみたんや・・よかったわ。」 ・・そしてちょっと沈黙してから、 「主人公のまわりで、みんな・・自殺していくんや・・お姉さんのことちょっと思い出してな・・こんな気持ちやったんかな・・とか」 その言葉が心に残っていて、東京から帰りの新幹線に乗る前に、売店横のブックストア目立つところで文庫本を見つけ(今まさに映画がロードショーされたところでTVや新聞でも話題になっていますからね)日常の中で本を読む時間が中々とれないし新幹線車中なら読めると思い購入。 そうしたら思いがけず新幹線が事故で止まったりで、読み進み、今日、遠く成安造形大へ行き帰りの長い電車内で、とりあえず上巻を読み終えました。 読み始めて・・、主人公ワタナベくんの親友キズキの17歳での自殺。地元神戸を離れての進学や物事を深く考えないようにしようとした・・(そうしなければ、喪失感に飲み込まれそうな自分がいて)主人公の気持ち。 キズキの恋人だった直子の喪失感の深さ。 直子の療養所生活からの手紙・・・ 私の姉の17歳での自殺と、その前に何とかその精神を回復させるべく色々なところにかかった挙句の遠い地での療養所生活(九州の山中の思春期病棟・・かつてチューリップの財津和夫さんも入ったことのあるところだったため、チューリップのファンだった姉は行く決心をした) その九州の病院に入る前も、京都でも入ってみたところもあって、母とともにつきそって行っていた私は、いまでも、京都の美術館に絵を運んだりする時、東福寺近くのその療養所の前を車で通るたびに、ちょっと胸が苦しくなるのです。 そこからくれた姉からの手紙と重なる思いで読み進んだら、上巻後半で直子自身、姉を、姉さんが17歳の11月に自殺で失い、その姿を見てしまった体験・・・ 17歳・・11月・・亡くなった姉の死斑の出たあまりに変わり果てた姿の壮絶な記憶・・・重なることが多すぎて・・・記憶がつぎつぎフラッシュバックされてきて、帰りの電車内で胸が苦しくなった・・・ でも、下巻も、しっかり読んでしまいたいと思います。 村上春樹さんは、身近にそういう方がいたのだろうかと、そのリアルな。。でも人に対する優しい目線での文章に。。 私の絵に漂う大切な人の存在感・どうしようもない喪失感は、やはりあの、壮絶な思春期で起こった・・消しようのない記憶
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