YOKO'S SCENE

画家・井上よう子のNEWS。
ヒロクニ画伯の本「しあわせ食堂」
水曜日、大学から帰って大急ぎで家族の夕食準備をしてから、再び飛び出して神戸元町高架下・プラネットEARTHへ。武内ヒロクニさんの本の出版記念イベント、「VOXヒコーキ堂」(30数年前にヒロクニさんが、当時まだあやしく危険な雰囲気だった中華街にて営んでいたロック・コーヒー・メディア・スポット,私はまだ中高生?で、もちろん知りません)を再現して熱気むんむんの中でのトーク…左からギャラリー島田の島田社長。ヒロクニ画伯。毎日新聞夕刊編集部編集委員・鈴木琢磨さん(毎日放送の番組に、コメンテーターとして出演もされたりもしてる)、そしてVOXヒコーキ堂の生き字引?ラジオ関西でDJされてる中村よおさん…(若く見えますが私より6歳上だとか)。
4人の方々皆さん深い知識に裏打ちされてのお話はとても面白く、少々アルコールでのどを潤しながらでなめらかにユーモアや毒舌も飛び出して、ヒロクニ画泊にマイクを渡すと、質問とは違う不思議な方向へ飛んでいったり・・

毎日新聞夕刊に、週1回3年間連載されていた「しあわせ食堂」…

「いったい、いつからだろう。夕方のニュース情報番組で、グルメコーナーが定番となったのは。…中略…敗戦の焼け跡から60年たって、肉付きよろしく立派なプロポーションになったものの、心がボロボロになった。その心をつくりあげたのは食い物に違いない。飽食の時代といわれながら、貧しいのではないか?朝・昼・晩のメシ。誰もがうっすら気づいている。栄養満点でも「しあわせ」が足りない、と。世界の料理をいながらにして堪能できたにせよ。
そう、この国のモンダイの根本は食にありー。ということで、2006年4月、毎日新聞夕刊で「しあわせ食堂」がはじまった。各界の著名人に食にまつわる思い出あれこれをうかがいつつ、ちょっと立ち止まって現在、そして未来を考えてみたかった。置き忘れてきてしまったものはないか。大切な、大切な何かをー。
…中略…
さて連載に際し、そんな滋味あふれる食語りに彩りが欲しくなった。ありきたりの添え物的イラストはいやだった。どっかーんと存在感があって、脳みそを刺激してくれそうな絵がー。武内ヒロクニさんにお願いした。この人しかいない、と思った。
…中略…
正直、新聞のイラストとしては型破りも型破り、編集局でも賛否両論あった。でも、毎週、毎週、速達で原画がアートとはほど遠い殺気立つ新聞作りの最前線に届きだすと、どの記者も封を切るのを楽しみにした。ドキドキしながら。だって、ときに白いはずのご飯が黒かったり、抹茶の茶碗がコーヒーカッブになっていたり、それはそれは奇想天外な絵も混じるもので。ただ、それゆえ、常識にがんじがらめになった頭をほぐしてくれ、笑いとともに心に滋養をもたらしてくれるのだった……」

仕掛人の鈴木琢磨さんのあとがきからの抜粋です。

そして、30年近く付き合ってこられた島田さんは、10ページにわたりヒロクニさんの生い立ちから語る文章を書かれています。
その終りから2ページめ、数年前くらいからのところ「“エカキ“はビンボーしないと“イケナイ“と本人は粋がっていても、人は霞を食べて生きてはいけない。
辛酸なめ妻の幸穂里さんが、子供絵画教室を開いて生計を支える。
そんな時に、ヒロクニさんは救急車で運ばれて、即手術。膀胱ガンで余命一年と宣告される。
いよいよ生活も行き暮れてしまった。
四度の手術。抗がん剤投与も放射線治療も嫌と、病院を遁走。夫婦二人して、よろよろしているところに電話が鳴った。鈴木さんからだった。
「しあわせ食堂」の挿絵が誕生した瞬間である。」

著名人の様々な思い出話したちと、ヒロクニさんの絵、その絵を描くため準備した食材の裏話を妻のさほりさんが書き添えられていて、それも秀逸…
たくさんの感動に出会えます。


「しあわせ食堂 -武内ヒロクニ+毎日新聞夕刊編集部-」   光人社

・・・ヒロクニさん、ほんとによくぞ、ガンから生還されましたね・・
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