YOKO'S SCENE

画家・井上よう子のNEWS。
左手のピアニスト- ジストニアと言う病気

大波乱だった1・17コンサートの後、楽屋で撮って貰った写真…私の右側には詩を朗読された竹下景子さん、左側にはピアノ演奏された智内威雄さん…
その智内威雄さんが、兵庫県立美術館1階ホールで演奏されると聞き、「ウィーン美術史美術館蔵-静物画の秘密展」を近いうちに見に行くつもりだった(今年になってからシンポジウムの為に兵庫県美へ2回行っていながらも、時間がなくてゆっくり展覧会の方は拝見できず)のを繰り上げ、それでも全部は聞けそうにないスケジュールだったけれど、土曜日、息子をサッカーへ送り出してから急ぎ美術館へ行ってきました。

展覧会をじっくり拝見し、静物画に秘められた数々の意味を解説から分析…(美術教師として知ってる事もありましたが、ウーン奥が深い。29日までです。皆さんも是非)

そして2時から智内さんのコンサート。ソフトな笑顔と語り口で始まりました。でも、左手のピアニストになったいきさつ、ジストニアと言う病気について、今回じっくりと話され…

実は私の絵と智内さんは不思議とご縁があって、昨年9月末ギャラリー島田での、私の個展の会期中にあった火曜サロンが、智内さんのギャラリーコンサート。
私のたくさんの大きな絵の中での演奏でした。

そして、1・17コンサートでまた、私の絵が飾られたステージで演奏されたのです。

火曜サロンの時にも、若きピアニストとして数々の受賞され期待されての海外留学中に、ジストニアと言う病気で左手が麻痺、一度はピアニストの道を諦めかけ…、そんな時に左手だけの為に書かれた曲、自らも左手のみの作曲家と出会い、左手のピアニストとしてリ・スタートした…とは聞いていました。

でも、今回、そのジストニアと言う病気、聞いた事ない方が殆どでしょう?と、少し解説されました。確かに私も智内さんを知るまでは、聞いた事なかった病気でした。
「ピアニストの第2の病気」なのだそうです。第1はもちろん腱鞘炎、第2がこのジストニアで、苛酷に手を使う事で起きる職業病とも言えるとの事。悩の中で、手の表と裏のそれぞれの神経を動かす部位に歯車のズレが起こってしまって、ピアニストの命とも言える脱力感-無意識に手を動かすような事が出来ず、無理に動かそうとすれば固まってしまう。一時は全く動かなかったのが、リハビリによって、日常生活で使う程度には回復したけれど、やはりピアニストとしての演奏は無理なのだそうです。

華々しい受賞や海外留学から一転、どんなにか絶望に打ちのめされた事でしょう。

でも、今、左手のみの演奏をする事についても語られました。

両手が使えないから仕方なくというマイナスなのではなく、逆にプラスの物……両手だと過剰になるものを削ぎ、心にメッセージをより強くストレートに訴える力がある、魅力があると思える、歌などに通じるような…を感じる、だから僕はこの方法を選び、これからも左手で弾き続ける…ということを、声高にでなく、静かに語ってらして、心に響きました。
大変な困難は、人を深くさせます。
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